ぶっくま

あさのが読んだ本の備忘録

家族ドラマ

にぎやかな落日

『にぎやかな落日』/朝倉かすみ 人生の最後を生きるおばあちゃん 老いてもその人間性は健在だった 褒められると嬉しくなり 好き嫌いで人を区別し サラリと理不尽をやり過ごす 描写が現実すぎて いつの間にかそこに母の姿を見ていた Amazonで読む楽天で読む …

水たまりで息をする

『水たまりで息をする』/高瀬隼子 風呂に入らなくなった夫 そんな夫を受け入れようとする妻 社会の歪がもたらした奇異な状況に 焦らず騒がず淡々と対処する女 可笑しみと人間の闇が入り混じる世界の中で 女という生き物の揺るぎない強さを見ました Amazonで…

朔が満ちる

『朔が満ちる』/窪美澄 親に酷い仕打ちを受けた子供たち 成長してなお、彼らは悲しい過去に絡まりもがく 世界の全てを疑い、手探りで生きる場所を探す 信頼できるのは同じ境遇の仲間だけだった 彼らにとって救いとは何か? それは安易な施しではないと願う …

ブラザーズ・ブラジャー

『ブラザーズ・ブラジャー』/佐原ひかり 親の再婚で唐突に姉弟になった二人 弟はブラジャーを着ける人だった ぎこちなさの中で探り合い 時に衝突しながら家族になってゆく もどかしく心が揺さぶられ、昂り、気持ちが溢れ出す そこにあるのは紛れもない青春…

不在

『不在』/彩瀬まる 離別した父の死で実家の屋敷を相続した娘 屋敷を整理しながら父への不信を回想する 近くにいた家族だからこそ見えてしまう良悪 家族という血の繋がりが心情の振幅を増幅する ほんの些細な優しさがねじ曲がった心を癒す瞬間 読了後、そん…

9月9日9時9分

『9月9日9時9分』/一木けい 夫に暴力を振われ、離別し心を病む姉 その夫の弟に恋をした妹の葛藤が描かれる どうしてこんなことになったのか、誰が悪いのか 物語は答えのない回廊をひたすら彷徨い続ける 諦めずに信じた先に見えた微かな光 その光が真実…

ことり

『ことり』/小川洋子 小鳥と通じる言葉を持った兄と その言葉を唯一理解する弟 小鳥を愛する兄弟の慈愛に満ちた日常が描かれる 雑音のない透明な空気の中で紡がれる言葉が 心を覆い尽くしじわじわと浸透してゆく やがて満たされた心から温かいものが溢れ出…

大人は泣かないと思っていた

『大人は泣かないと思っていた』/寺地はるな 片田舎に住む人々の家族と人生が描かれた連作短編集 家族が抱える問題、世代間ギャップ、田舎特有の世間の狭さ 誰もが不可避な生きづらさを抱えながらも 側にいる誰かに支えられ救われる姿に心が洗われる リアル…

西の魔女が死んだ

『西の魔女が死んだ』/梨木香歩 いじめに遭い学校をリタイヤした女の子 おばあちゃんの元で魔女の修行を積む 誰もがままならない世界をもがきながら生きている そんな中で誰かの言葉が救いとなる時がある 大切な人の言葉を大切にして生きてゆく とても素敵…

母影

『母影』/尾崎世界観 いかがわしいマッサージ店で働く母を持つ女の子の物語 カーテン越しに聞こえる母と客の奇妙なやりとり 好奇心と感性豊かな子供目線で語られるも そこに大人の意図が透けて見える 下ネタを叫びながら走り回る子供たち そんな世界の雫が…

幸福な食卓

『幸福な食卓』/瀬尾まいこ 父の自殺未遂で壊れてしまった家族が少しずつ再生してゆく物語 それぞれが心に傷を抱えながら、それでも生きていく どんなに辛い出来事があっても そばにいてくれる誰かがいれば いつかきっと笑顔を取り戻せる そんな希望を抱え…

ボダ子

『ボダ子』/赤松利市 女にだらしない男が心を病んだ娘と元妻のために金を稼ごうと奔走する物語 再婚を繰り返す女にだらしない男 心を病んだ娘と元妻と東北に移り住み 一儲けしようと奔走する 悪さをするくせに妻子を切り捨てられない 男のちぐはぐさが強烈…

星の子

『星の子』/今村夏子 病弱な子供を救おうとして宗教にのめり込んだ親と娘の物語 家族と宗教、そして外の世界 この物語はそこにある現実だけを述べ 読者にそのあり方を問うているのだと思いました 心が求めるものは何か? その選択は個人に委ねられる Amazon…