ぶっくま

あさのが読んだ本の備忘録

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

月の満ち欠け

『月の満ち欠け』/佐藤正午 好きだった男を思い、生まれ変わりを繰り返す女 何度も再会を試みるも不運な死を遂げてしまう 執念とそれを阻む死という運命 物語を包む不穏な空気感が 生まれ変わりというテーマを頑なに警護する Amazonで読む楽天で読む 書籍紹…

西の魔女が死んだ

『西の魔女が死んだ』/梨木香歩 いじめに遭い学校をリタイヤした女の子 おばあちゃんの元で魔女の修行を積む 誰もがままならない世界をもがきながら生きている そんな中で誰かの言葉が救いとなる時がある 大切な人の言葉を大切にして生きてゆく とても素敵…

きみがいた世界は完璧でした、が

『きみがいた世界は完璧でした、が』/渡辺優 ゲームの中の登場人物に似た女子に恋をする男子 同じサークルの彼女につきまとうストーカーの陰 彼は彼女を救うことを誓う 丁寧語で綴られる文体とネガポジ渦巻く思考 その独特な世界観に引き込まれる 終盤のク…

盤上に君はもういない

『盤上に君はもういない』/綾崎隼 将棋界初の女性棋士を目指した女たち 人生の全てを投げ打ち将棋に命を捧げる姿が描かれる たとえ消化試合だとしても全力で相手の勝利を阻止する そんな礼節を持った勝負師たちの世界に胸が熱くなる 強さの裏に隠された愛は…

ツナグ

『ツナグ』/辻村深月 死者との面会を仲介する役目を引き継ぐ高校生 依頼者と死者の間にある様々な人生模様が描かれる エピソードの中には面会が解決ではなく 生者に何かを背負わせるような深い人間考察も含まれる 自分なら誰に会いたいだろうか? そんなこ…

改良

『改良』/遠野遥 女らしく綺麗になることに執着する男 見た目の改良を重ね、やがて承認欲求に駆られる 美しさに憧れるも一線は超えない そんな臆病な男の姿が滑稽に描かれる 人間という生き物の柔らかな部分がさらけ出されていた Amazonで読む楽天で読む 書…

キルタスク

『キルタスク』/行成薫 家族を殺された男が復讐を果たす物語 事件に巻き込まれ家族を殺された男 殺し屋に命を救われ裏の世界の住人となる 善と悪、どちらの存在も否定しないという世界観 淡々とした文体の中で殺しが行われ事件の真相が暴かれる 最後はいさ…

母影

『母影』/尾崎世界観 いかがわしいマッサージ店で働く母を持つ女の子の物語 カーテン越しに聞こえる母と客の奇妙なやりとり 好奇心と感性豊かな子供目線で語られるも そこに大人の意図が透けて見える 下ネタを叫びながら走り回る子供たち そんな世界の雫が…

密やかな結晶

『密やかな結晶』/小川洋子 あらゆる物が一つずつ消滅していく世界 女は消滅と無縁な男を匿い抵抗を試みる 何者かが支配する世界の恐怖が描かれているが 支配されることに抗えず、むしろ自ら求めてしまう描写に 人間に隠された歪な本質を見せられた気がしま…

透明な夜の香り

『透明な夜の香り』/千早茜 家族の不幸に傷を抱える女 常人離れした嗅覚を持つ調香師 過去を持つ二人の偶然の出会いは運命を引き寄せる ハーブが香る爽やかな世界の中で物語は展開し 限りなく透明に近いラブストーリーが残された Amazonで読む楽天で読む 書…