ぶっくま

あさのが読んだ本の備忘録

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ぼくのメジャースプーン

『ぼくのメジャースプーン』/辻村深月 凄惨な事件に巻き込まれ心を病んだ同級生 不思議な力で彼女を助けようとする男の子 言葉でさまざまな理屈を考えながらも 心は大好きな人を助けようと勝手に動いてしまう そんな純粋な心から放たれる光が物語を照らす …

白医

『白医』/下村敦史 終末期緩和ケアを行うホスピスで働く医師 患者やその家族が上げる悲痛な叫びに翻弄される 法律で定められた医療行為 患者毎に要求と最適解が異なる現実 その現場にいる全員が両者のはざまで苦悩する 死とは誰のものか 気がつくと答えのな…

不在

『不在』/彩瀬まる 離別した父の死で実家の屋敷を相続した娘 屋敷を整理しながら父への不信を回想する 近くにいた家族だからこそ見えてしまう良悪 家族という血の繋がりが心情の振幅を増幅する ほんの些細な優しさがねじ曲がった心を癒す瞬間 読了後、そん…

片見里荒川コネクション

『片見里荒川コネクション』/小野寺史宣 寝坊が原因で留年した青年と生涯独身の爺さん 同郷という縁が二人を繋ぐ 同じ景色を知っていたり、同じ人を知っている 故郷から離れた場所ではそんなことが 人と人の距離を縮める引力となる 緩やかで温かい人の繋が…

インドラネット

『インドラネット』/桐野夏生 社会に不満を持つ契約社員の男 行方不明の高校時代の親友を探しに カンボジアに旅に出る 明らかになってゆく親友の出自 裏切りと命の危険に晒される捜索 人間が持つ強さと儚さが細い綱の上を歩いてゆく Amazonで読む楽天で読む…

声の在りか

『声の在りか』/寺地はるな 子育て真っ最中の主婦 日々の家事をこなし、パートを勤め 子供のママたちと渡り合い、PTAの役員をこなす そんな目の回る主婦の日常に降りかかる理不尽 前向きに生きようとする姿が描かれるが リアルな現実を思い胸が苦しくなりま…

星落ちて、なお

『星落ちて、なお』/澤田瞳子 絵師、河鍋暁斎とその娘、暁翠の人生を描いた評伝小説 画鬼と呼ばれ奔放に絵を描いた父 その凄まじい画才に死してなお翻弄される兄と妹 大正の時代に欧化の影響を受け変貌する画壇 父への評価が古人と落ちてゆく世相の中で 娘…

マチネの終わりに

『マチネの終わりに』/平野啓一郎 出会った瞬間に惹かれ合う二人 それぞれが抱える人生の葛藤が二人を翻弄する 頑強な設定に裏打ちされた心理描写 心の底からほとばしる心情と行動 深く重みのある文体から紡ぎ出される映像 大人の恋の物語、堪能しました Am…

赤の呪縛

『赤の呪縛』/堂場瞬一 銀座のクラブで発生した焼身自殺事件 事件を追う刑事は政治家である父の影を踏む 偶然か必然が事件を担当することになった 刑事は自身の過去と向き合うことになる 一旦の結末を見ないまま終項を迎えたのが残念 Amazonで読む楽天で読…

生きるぼくら

『生きるぼくら』/原田マハ 母に突き放された引きこもりの男 余命を語る祖母のいる田舎に行く 人、食、仕事、大自然 田舎での出会いが男を変えてゆく 人はほんの些細なきっかけや優しさで 生きる力を得ることができる そんなメッセージをしっかり受け取りま…

名も無き世界のエンドロール

『名も無き世界のエンドロール』/行成薫 仲の良かった親友をひき逃げされた同級生の復讐の物語 生みの親がいない三人のクラスメイト 何かが欠けた境遇が三人を強く結びつける 人生をかけて欠けたものを取り戻そうとする そんな青く痛々しいカッコ良さが 破…

まだ人を殺していません

『まだ人を殺していません』/小林由香 出産で死亡した姉の息子を引き取った妹 その子の父親は殺人容疑者だった 口をきかず感情が見えない男の子 父親が悪魔の子と呼ぶその子は何者なのか? 明かされてゆく殺人事件の真相と子供の心情 不穏な行き先を確かめ…

風が強く吹いている

『風が強く吹いている』/三浦しをん 箱根駅伝に出場することを目指すボロアパートの十人の住人の物語 走ることの意味を追い続ける一人の男がいた オンボロアパートの住人と箱根駅伝出場を目指す 性格も境遇も異なる十人がぶつかり合いながら 走る楽しさを知…

クララとお日さま

『クララとお日さま』/カズオ・イシグロ 病弱な少女と人工知能を持ったアンドロイドの物語 店で身請けを待つ知的なアンドロイド ある日、病弱な少女と運命的な出会いをする 少女の家に引き取られたアンドロイドは 少女を愛し献身的に全てを捧げる 純粋無垢…

あつあつを召し上がれ

『あつあつを召し上がれ』/小川糸 そこから先の景色が変わるような人生の転機 そんな大切な時間に寄り添う食べ物たちが描かれる 食べることは生きること 食事というものがもたらす 心の豊かさや大切な記憶たちに 改めて感謝したい気持ちになりました Amazon…