ぶっくま

あさのが読んだ本の備忘録

ラブカは静かに弓を持つ

 主人公の青年は子供の頃にチェロを習っていた。社会人となり再び音楽教室に通いチェロを手にする。この物語の軸となっているのは現実の社会でも耳目を集めた音楽著作について。音楽教室での楽曲演奏に著作使用料を課すという問題。グレーゾーンが長い間放置され慣例化した状況を変えようとして問題が大きく報じられた。この物語の主人公は音楽教室の実態を探るための音楽著作協会のスパイだった。

 チェロという楽器が持つ深みのある音の魅力。心を揺さぶる音楽の存在感。そして、共に音楽教室に通う仲間。主人公は子供の頃に感じていたチェロの魅力を思い出し、講師や仲間との付き合いの中でさまざまな感情が芽生えていく。悪意はなく、無自覚で犯される著作権違反。調査活動の中で、主人公の心は揺さぶられ、翻弄される。

 この本は青少年読書感想文コンクールの課題図書に選定されている。現実に起きた社会問題とその現場にいる人の心の葛藤。人の心を彩る音楽という存在が核心にあるからこそ、この物語は深く考えさせられるところが多い。お金では割り切れない何か。そんなものがこの世界にはあるのだと教えられる。そして何より音楽には人の心を豊かにする力があるのだと実感する。

 

 

ラブカは静かに弓を持つ

 

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