ぶっくま

あさのが読んだ本の備忘録

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

オオルリ流星群

『オオルリ流星群』/伊予原新 高校の同級生たちの想い出 高校最後の夏を費やした大創作 中年になった彼らは天文台を建設する それぞれが抱える悩み もう会えない同級生 あの暑い夏の日を思い出しながら みながそれぞれの思いを重ね心を震わせる Amazonで読…

砂嵐に星屑

『砂嵐に星屑』/一穂ミチ テレビ局で働く人たち 仕事、人間関係、恋、家族 みなが何かを抱えて生きている 見通させない物語を注意深く辿り 共感が埋め込まれた地雷原を歩く 人の柔らかいところにそっと息を吹きかけられ そうだよねと頷くしかないのです Ama…

コーリング・ユー

『コーリング・ユー』/永原皓 捕獲され生き別れた二匹のシャチ 高度な知能を持った雄のシャチは ある任務遂行のために訓練を受ける 信頼できる人間との出会い 生き別れた雌シャチの存在 人間とシャチの信頼が物語を揺り動かす Amazonで読む楽天で読む 書籍…

ブラックボックス

『ブラックボックス』/砂川文次 何事も長続きしないキレ癖のある男 男は同じ場所をぐるぐると回り続ける 理解はしてもその回廊から抜け出せない そもそも社会に彼のための抜け道はない 己の無力に絡め取られる男の姿 きっと男はどこにも行けない でもそのま…

怪物

『怪物』/東山彰良 台湾人の叔父は生きるため悪の手先となった 男は曖昧な叔父の記憶を元に小説を書いた 完成したはずの小説 そこに浮かび上がる新たな事実 男は人の闇に苦悩し、新たな道を模索する 人間とは何か、その真実を光が照らす Amazonで読む楽天で…

その午後、巨匠たちは、

『その午後、巨匠たちは、』/藤原無雨 世界に知られた画家たち 彼らは神としてある町に呼び寄せられた 神に使える不老の女 画家が描いた絵を収蔵する美術館 画家たちの心情に翻弄される町 不思議な世界はいつしか変化の時を迎える 注釈を彷徨う物語はどこに…

チェレンコフの眠り

『チェレンコフの眠り』/一條次郎 マフィアのボスに飼われていたアザラシ ボスが殺され路頭に迷う 人間に環境が破壊された世界 絶望に暮れ当てもなく彷徨うアザラシ 幻想にまみれた人間社会の成れの果て そんな世界が辛辣に描かれる Amazonで読む楽天で読む…

奔流の海

『奔流の海』/伊岡瞬 父に車にぶつかることを強要された少年 後に父と母は死に、裕福な家の養子となる 少年の出自にまつわる過去 養父へのわだかまり 明らかにされてゆく真実の中で 成長した少年は自らの人生を見つめる Amazonで読む楽天で読む 書籍紹介 po…

教育

『教育』/遠野遥 健康や性行為を推奨する奇異な学校 透視能力の成績で序列が決まる 機械的な授業 教師、職員による監視と体罰 生徒は進級を目指し戒律に順応しようとする はみ出さない子供の量産を良しとする 学校システムの歪(イビツ)が浮かび上がる Ama…

オン・ザ・プラネット

『オン・ザ・プラネット』/島口大樹 映画撮影のため鳥取砂丘を目指す男女四人 道中でこの世界について意見が交わされる テーマの芒洋さ 個々から湧き出す記憶の断片 カードを捲り表を見てまた裏返す そんな発散した議論が繰り返される 同じカードを持ってい…

神さまを待っている

『神さまを待っている』/畑野智美 派遣を切られ生活が困窮する女性 日雇いで食い繋ぐもホームレスとなる 漫画喫茶に寝泊まりする日々 性を売る周りの女たちの存在 自身の尊厳をめぐる攻防が描かれる Amazonで読む楽天で読む 書籍紹介 powered by openBD API…

ミシンと金魚

『ミシンと金魚』/永井みみ 介護を受ける一人暮らしの老女 記憶が曖昧で介助なしでは生活がままならない 継母に虐待され、兄は借金を残し死んだ 息子は自死し、娘も病気で夭折した そんな複雑な環境の中でも老女は生きた コミカルな文体で壮絶が明るく語ら…

我が友、スミス

『我が友、スミス』/石田夏穂 ジムに通う会社員の女性 レジェンドに誘われボディビルの世界に入信する 美を追求し極限まで鍛えられる筋肉 禁欲によって研ぎ澄まされる精神 何かに打ち込むこと、それがなんであっても 人は何かを得て人を大きくする 筋肉越し…