ぶっくま

あさのが読んだ本の備忘録

青春ドラマ

schoolgirl

『schoolgirl』/九段理江 分断の時代を生きる多感なミドルティーン ハイテクを武装し自分を作り込み発信する 誰かが発明したツールによって増幅された 何かに心酔する蒼い姿が描かれる 研ぎ澄まされたナイフで今の時代を 切り取った文脈が迫りくる Amazonで…

永遠の出口

『永遠の出口』/森絵都 どこにでもいるような小学生の少女 彼女は成長の過程で誰もが経験する悩みに向き合う 大人という存在の幻想 ふわふわした未完成の同級生たち まるで魔法の森にでも迷い込んだかのような時を経て 気づけばみな、いつしか出口を目指し…

ぼくは勉強ができない

『ぼくは勉強ができない』/山田詠美 野生的な感覚を剥き出しに生きる男の子 彼がいる教室には奇妙な風が吹く 大人の都合や団体生活の暗黙の了解 何かがおかしいのにおかしいと言えない空気 そんなむず痒い学校システムの不都合が あっけらかんと語られる 悩…

月魚

『月魚』/三浦しをん 老舗の古書店で出会う二人の若者 ある出来事が二人の間の空気を変える わだかまりながらもお互いを手放さない二人 じわりと染み出す心の揺れを身に纏い 静かな月夜を手探りで歩いてゆく その道のりは永遠に思えた Amazonで読む楽天で読…

万葉と沙羅

『万葉と沙羅』/中江有里 通信制の高校で再会した幼馴染の男女 将来への漠然とした不安を抱えながら 手探りで前に進もうともがく姿が描かれる ふんわりとした優しさに包まれて読了 二人を繋ぐ役目を果たす本たち 読んでみたくなりました Amazonで読む楽天で…

エレジーは流れない

『エレジーは流れない』/三浦しをん 寂れゆく温泉街に暮らす高校生たち それぞれの家庭の事情と 悲哀を感じずにはいられない街並み 将来への漠然とした不安 そんなものが混ぜこぜになった日常が なぜか愛おしくて脳裏にこびりつく Amazonで読む楽天で読む …

万事快調 オール・グリーンズ

『万事快調 オール・グリーンズ』/波木銅 見えない何かに押し込められ喘ぐ女子高生たち その境界を突き破れるのなら犯罪も正義となる 破滅的に見える剥き出しの咆哮が 息の詰まるようなこの世界の中で きらきら光る宝石のように見えた エグい内容も読後に謎…

アヤとあや

『アヤとあや』/渡辺優 同じ名を持つ二人の少女たちに漂う危うさ 画家の父、絵のモデルという役割 少女たちにとって特別が何より大切なものだった 小さな出来事に鋭く反応する心理描写 直感的に心に響く言葉たち 危うく儚げな世界観に心を拘束されてしまっ…

ブラザーズ・ブラジャー

『ブラザーズ・ブラジャー』/佐原ひかり 親の再婚で唐突に姉弟になった二人 弟はブラジャーを着ける人だった ぎこちなさの中で探り合い 時に衝突しながら家族になってゆく もどかしく心が揺さぶられ、昂り、気持ちが溢れ出す そこにあるのは紛れもない青春…

鳥がぼくらは祈り、

『鳥がぼくらは祈り、』/島口大樹 それぞれの家庭に問題を抱える幼馴染たち ぶつかり合い、傷つきながら生きる道を模索する 壊れかけの構文、幽体離脱する視点 非常に読みにくいというのが正直な感想 どこまでが文学か? そんな境界線を意識させられました …

風が強く吹いている

『風が強く吹いている』/三浦しをん 箱根駅伝に出場することを目指すボロアパートの十人の住人の物語 走ることの意味を追い続ける一人の男がいた オンボロアパートの住人と箱根駅伝出場を目指す 性格も境遇も異なる十人がぶつかり合いながら 走る楽しさを知…

愛されなくても別に

『愛されなくても別に』/武田綾乃 親に愛されなかった二人の女の子 お互いの優しさに触れた二人は友達になる ギリギリのところで生きてきた彼女たちには 安易に信じられる救いなどないのだと思う それでも、思いがけず見つけた小さな優しさが 彼女たちが生…

凍りのくじら

『凍りのくじら』/辻村深月 父の失踪という傷を抱えた女の子 自分の性格にコンプレックスを抱えながら 逃げ道のない運命に激しく翻弄される 着地点の予想がつかない中で展開される物語 全編に渡って描写される心の葛藤と痛々しさ ものすごい熱量を感じなが…

犬がいた季節

『犬がいた季節』/伊吹有喜 生徒たちの熱意で学校で飼われることになった捨て犬 犬を世話する生徒たちの青春の一コマが描かれる どのエピソードにも誰もが高校生の時に感じた 逡巡や熱量のようなものが活字から浮き上がり 心に共感と郷愁が訪れる Amazonで…

ラメルノエリキサ

『ラメルノエリキサ』/渡辺優 やられたらやり返す 幼い頃から復讐に執着する女の子 通り魔事件の被害者となり復讐の炎を燃やす さらりとした文体で描かれる狂気の世界 思春期の不安定な心情が物語を引き立てる 文字が流れるようで気がつくと終項にいました …

君を描けば嘘になる

『君を描けば嘘になる』/綾崎隼 アートスクールで出会った才能ある男の子と女の子の物語 それぞれの夢や希望が現実の世界に翻弄されながら 絵を通して成長してゆく登場人物たちの姿が眩しく輝く 自分の好きを手放してはいけない、汚されてはいけない そんな…

オルタネート

『オルタネート』/加藤シゲアキ 高校生専用のマッチングアプリで繋がる 高校生たちの等身大の日常が描かれている 未完成な心を揺らす悩みや不安、期待や希望 いろいろな感情がないまぜになった物語が ラストに向かって疾走してゆく 迸るような青春が輝いて…

空想クラブ

『空想クラブ』/逸木裕 一人の女の子の死をきっかけに再会し絆を取り戻す小学校の同級生たちの物語 かつて空想の世界を共有した仲間たち 仲間の死をきっかけに再会し 当時の絆を取り戻してゆく ファンタジーと謎解きとミステリーが ふんわりとした世界観の…

でかい月だな

『でかい月だな』/水森サトリ 衝動で動いた友達に怪我をさせられてしまった少年が友情を取り戻そうとする物語 傷つくのを恐れて大切な誰かを傷つけてしまう 青春は意味不明な矛盾に満ちている 友情とはなんなのか、どんな色なのか、匂いは、味は? 答えのな…

長い終わりが始まる

『長い終わりが始まる』/山崎ナオコーラ ストイックに大学のマンドリンクラブで活動をする女の子の物語 圧倒的な自由の中で人との関係性を手探りする大学生 社会人一歩手前のその世界は喜びと痛みの諸刃である 大学生とはこんなに幼稚だったかと回想するも …

ヘディングはおもに頭で

『ヘディングはおもに頭で』/西崎憲 人生の中で苦悩する浪人生の日常を描いた物語 人生という透明な殻の中でもがく青年 日常の中に何気に置かれる他人と友達、そして家族 新しい出会いに心を動かされ、理不尽に怒り、 恋の予感に期待を寄せる 触れられる程…

卒業タイムリミット

『卒業タイムリミット』/辻堂ゆめ 卒業直前に教師の誘拐事件に巻き込まれた訳あり高校生たちの物語 教師という大人に翻弄される高校生たち 心に傷を負った生徒たちが事件に巻き込まれてゆく 疑惑の矛先は二転三転し 刻々とタイムリミットが迫るミステリー A…

ハリネズミは月を見上げる

『ハリネズミは月を見上げる』/あさのあつこ 女子高生が家族や社会という大人の世界と向き合う物語 高校生が見る大人の世界 それは特別ではなくすぐそこにある現実 やがて全ての子供たちはその世界で生きてゆく 欲や圧力にまみれた世界でどう生きてゆくか?…

しき

『しき』/町屋良平 高校生たちのありふれた日常を大人目線で描写した物語 描かれる情景は細筋の一本がピクリと動く様子をも逃さぬ鋭さ 一致した共感は数知れない青春への郷愁をもたらす その追憶の時間はリアルすぎて笑ってしまうほど 文体のリズムが心と同…

推し、燃ゆ

『推し、燃ゆ』/宇佐見りん 自身の全てを捧げてアイドルを推す少女の物語 それが世界の全てであるかのように推しのアイドルに心酔する 誰もが通る道であるけれど、より深みに沈み込んだ姿は 物悲しくて痛々しくて切ない 壊れてゆく感情と日常、推しの炎上 …

純喫茶パオーン

『純喫茶パオーン』/椰月美智子 老夫婦が経営する純喫茶に入り浸る孫と仲間たちが遭遇する小謎の物語 コミカルでクセのある登場人物 プチミステリーと軽快に進んでいくストーリー 迷わずサラサラと読める一冊でした 読了後、児童文学だったのかなとふと思い…

破局

『破局』/遠野遥 卒業を控えたラグビー部の大学生が二人の女と別れを迎えるまでの物語 読了直後、 それぞれの世界を持った噛み合わない若者たちの群像劇だと思いました 気になったところを読み返すと 人間の表裏、可笑しみを描いた落語の世界が降りてきた …

氷菓

『氷菓』/米澤穂信 学校で起きる謎を解き明かす高校生の仲間の物語 高校生たちがキラキラしたお互いの個性をぶつけ合いながら 学校の謎を解いてゆく 来るぞ、きっと来る、その瞬間が だけど読み終わっても心電図に異常が見られなくて あーもう無理なんだな…

晴れ、時々くらげを呼ぶ

『晴れ、時々くらげを呼ぶ』/鯨井あめ 世の中の理不尽にくらげを降らせることで抗議しようとする高校生たちの物語 正直このままありきたりの青春小説で終わってしまうのかと 逆にドキドキしていたのだけど 本を読み終えたとき 僕は確かにくらげが降る空の下…

ライ麦畑でつかまえて

『ライ麦畑でつかまえて』/J.D.サリンジャー 世の中に絶望した高校生の揺れる心内を描いた物語 大人の一歩手前の少年の繊細な心情に共感 世の中の不条理と戦う少年の心模様がよく描かれていました 本を読みながら僕がライ麦畑で子供たちを捕まえる仕事をや…